前作のオーケストラを率いた『Highway Rider』に続いて発売されたので
『すわ ピアニストメルドーの新作か!』と色めいたが2006年のソロのライブ録音だった。
ポスト『Highway Rider』のメルドーが聞けるかと思ってたんだが...
一曲目の『Storm』にこのライブの音が一番色濃く出てる.
アルベジオ的に音を分散させ点描画のように音を明瞭に粒立たせつつ敷きつめる。
その敷きつめた点が時に線となりメロディを浮かびあがらせ、時に重なりハーモニーを生み出す。
そして一番の効果はリズムだ。
一音一音を点として強弱やアタックを操作して楽曲をリズミックに揺らしている。
加えてこの曲は2曲目のスタンダード『It's All Right With Me』への前奏曲でもある。
一曲目の性格を引き継いだ『It's All Right With Me』がまた素晴らしい。
こんな『It's All Right With Me』は聞いた事がない!!
そしてバラードの『Secret love』が始まると緊張から一気に弛緩しハァーとため息がもれてしまう。
歌心もメルドーは素晴らしいんだと再認識させてくれる。
Disc1の4曲目の『Unrequited』は『The Art of Trio vol.3』にも収録されている。
トリオ演奏よりもここでのソロの方が曲が跳ねまわってる。
ソロ作品で比聴するならDisk1の5曲目『Resignation』。
『Elegiac Cycle』に収録されているが
このライブ盤の方がリズムが張り出し低音が曲を突き上げてくる。
メルドーは低音の操作が巧みで執拗なくらい低音を立ち上げ、
腹にズドンとくるビートを生み出してる。
Disc1だけでも語りつくせぬものは多く, Disc2はご自身の耳で聞かれる事をお願いします。
2CDのDVD付き。
内容は1万円出してもおつりがくる。
演奏を点描画で例えたが自分にはイメージ的に色盲テストのあれの方がしっくりくる。
あれが明滅しながら浮かび上がるイメージを変化させていく。
そこに何かが見えるかはリスナーしだい。
生粋のジャズファンよりもむしろテクノ、
特に現代音楽にまで手を染めてるリスナーの方が適応するかも知れない。
ジャズファンならリズムに身を任せればいい。
メルドーファンならスタンディングオベーションでこのアルバムを迎えるでしょう。
追記:
やっぱりDisc2について一言。
このライブのクロージングナンバーの『My favolite things』が白眉。
もしこれを読んで下さっている方がジャズファンであるなら、
この曲だけでいいから是非聴いて下さい。
もし貴兄がコルトレーンの『My favolite things』を愛する生粋のジャズファンであるなら、
この曲の冒頭の導入だけでも聴いて下さい。
ロジャースの原曲以上に仕上がってないですか?
私はシビレましたよ。