このライブ盤が、数あるプリーストのライブ盤で、トータルで最も優れていると思う。「イン・ジ・イースト」は、確かに生々しいし演奏は素晴らしいが、あれはだいぶロブの歌を差し替えてる(海賊盤で差し替える前のを聴いたことあるが)。「プリースト...ライブ!」は選曲がイマイチ(フリーホイール・バーニングのライブ版が聴ける絶対的価値はある)。リッパーの入った最初の「ライブ・メルトダウン」は、選曲、曲順、流れ抜群だが、ちょっとギターの音が薄め(個人的な思い入れは一番強いが)。近年でた、「タッチ・オブ・イーヴル・ライブ」は、2つのアルバムでのライブからの寄せ集め、ブツ切りなのと、ロブの衰えもある。そして本作だが、ミッドテンポの「メタル・ゴッズ」から入り、前半スローな曲が続くところが好き嫌い分かれそうだが、リッパーの歌のこなれ方、音質、そして全体を通しての選曲と、プリーストのライブでの真の実力を、最も良くとらえている。そして、リッパーへの評価、ロブとの比較論については、僕はこう思う。「ロブが80年代〜90年頃の声」と、「現在のスキンヘッド、ヒゲの特異ルックスからの超絶カリスマ性」の両方を、兼ね備えて戻ってきたのなら、リッパーでは太刀打ちできない。しかし、80年代のロブは、正直歌は圧倒的だが、「ルックスは、ひょろひょろしててハゲ気味なのを帽子で隠してて、カリスマ性やキャラクターはいうほどなかった(私見)」と、僕は思う。そして今は、「ルックス、カリスマ性、インパクトは絶大だが声はだいぶ衰えて、ペインキラーみたいな曲は無理ある」と思う。対して、リッパーは、「カリスマ性は現在のロブには比べ物にならないが、70〜80年代のロブと比べたらどっこいどっこい」。歌の上手さは、「中性的な妖しさ、エキセントリックさを持つロブに比べて、艶と色気では劣るが、男性的な力強さ、渋さにおいて勝り、特に、ライブでフェイクが多いロブに対して、圧倒的な音程、リズムの安定感で勝る」。という風に捉えている。本ライブ盤での選曲も、妖しく繊細な曲よりも、タフで男臭いロックナンバーを中核に据えて、リッパーの魅力を最大限引き出している。悲しいが、リッパーの最後の花道に、このライブ盤を出してくれて嬉しい。そして最後にいいたい。リッパーがプリーストに入らず、この時点までプリーストが存続していなければ、プリースト自体が解散しており、ロブも戻るべき古巣とてなかった。そして、リッパーが入ってプリーストが復活した97年頃は、ロブ自体がプリーストへの、HMへの愛情すら無くして、TWOとかやって、変なおじさん(志村けん)みたいなメイクしていた時代だったのだ。その時期に、プリーストが解散せず、メタルを貫き続けたから、ロブもハルフォードでHMに復帰し、その後のリユニオンも起こったのだ。一番HMとプリーストが苦しかった時代を若さと情熱と才能で支えてくれたリッパーを、僕はいつまでも好きでいてる。