ファンキーとアブストラクトなど相対するものをコンセプトとして構成されたアルバムで、1970年のワシントンD.C.のクラブ、セラードアーで行われたライヴと、ブラジルの異才エルメート・パスコアールを招いてのスタジオセッションが交互に配置されている。前者のライヴは、エレクトリック・マイルス時代で最強のバンドとも思われる強烈な個性のメンバーが揃ったもの。ここでのマイルスのテンションは鬼気迫る程高く、リーダーに触発されたメンバー、特に今では考えられないジョン・マクラフリンとキース・ジャレットの火花散る凄まじい演奏には圧倒される。また、新たに参加したマイケル・ヘンダーソンのソウル/ファンク・ベースがバンドに新鮮で熱いグルーヴをもたらしたのは確かで、ジャック・ディジョネットやアイルト・モレイラを含むリズム隊も燃え上がるテンションでソロプレーヤーを鼓舞している。このライヴを眼前で聴いた幸運な人間がいるなんて信じられないほど羨ましい。一方のエルメートとのセッションは、ウェザー・リポートにも通じる抽象的で摩訶不思議な小作品であり、マイルスの先進性を象徴する一面を見ることができる。