あいかわらず、聴く者の心をとらえて離さないコケットリーと、しなやかな力強さにあふれている。もうひとりのヴォーカリスト、リチャード・ジュリアンも渋くて魅力的。
全体のサウンドはけっこうラフに作られているが、その辺もあいまって、この人たちが本当にカントリーを好きなことがよく伝わる出来だと思う。
ハンク・ウィリアムスの(2)は、ザ・バンドを思わせる音のきしみを感じさせる、いい仕上がり。
プレスリー(リーバー&ストーラー作)の(3)は、ノラの歌も素敵だが、ジョン・ドライデンのオルガンが実に良い味を出してます。
ウィリー・ネルソンの(8)では、ジム・カンピロンゴが快調にギターを弾きまくっており、ごきげんです。
(9)は、リチャード・ジュリアンのヴォーカルに魅力があり、グラム・パーソンズとエミルー・ハリスのヴァージョン(アルバム『GP』に収録)よりもいいと思う。このニガくてセツない曲は、アメリカの男たち(女たちも?)の精神的な原風景を見事に写しているような気がするが、いかがなものだろうか。カントリー・ソングの典型的なパターンといえばそれまでですが。
その他のカヴァー曲も、メンバーのオリジナル作品4曲も、それぞれ魅力的だ。
ニュー・ヨークのミュージシャンたちが、ノラ・ジョーンズと一緒に作り上げたカントリー・ポップスとして、冷ややかにとらえる向きもあるようだが、そうした見方を超える力強さと親密な魅力を持つ作品であり、時の流れに耐えて生き残る、いいアルバムだと思います。
国内盤はCCCDなので、購入するなら、こちらのUS盤がおすすめです。