~「私」の友人であるこの小説のヒーローが最後にとる行動、アメリカ各地での自由の女神像を爆破(ひとは誰も殺されない)は、日本人の私からみると(いや、私だけなのかもしれないが)、どうもちんけな行動にうつってしまうのだが・・・、アメリカにおける自由の女神像の爆破の意味をよくよく考えてみると、それはおどろくほどのインパクトがあることなのだな~~と思い知らされます。
「自由と民主主義」をイラクにもたらすんだと標榜してイラクに侵攻したアメリカ合衆国・・・、そこにはもはや自由と民主主義はなく、リヴァイアサン(旧約聖書にでてくる怪物)と化したアメリカの姿があるだけです。
作品の完成度と非常に濃密な構成からいえばオースター作品のなかでも最高の部類にはいるのでしょうが、その分、~~あまりに計算し尽くされているため行間から迸る熱情が薄れてしまったかのように見えるのが残念です。(私としては"Oracle~~ Night"のほうが好きです)
いずれにしろ、数多いの登場人物のさまざまでユニークな物語がかたられており(それぞれがこの小説の主人公みたいなもの)、その宝石のような短編(いや中編)小説群(?)が美しいジグソーパズルのように上手に散りばめられており読者を失望させることはありません。~