表紙のSF風少女と、裏表紙の和風少女の計2枚のイラストを、Photoshop、SAI、3D作成ツール「XSI」などを使用して描いていく。
和風イラストでは、鉛筆の質感を表現してアナログ風にした線画の描画法や、SAIの水彩筆ツールなどを使った彩色、テクスチャや紋様素材(ここでは
和柄パーツ & パターン素材 (CD-ROM付))をPhotoshopで合成し、イラストに生かす方法を解説。
また、SF風の少女イラストでは、著者の持ち味である3Dを2Dイラストに組み合わせた描き方などを解説している。
背景に3Dで作ったオブジェクトを使うほか、質感表現に3DCGのシェーダーを参考にするなど、さまざまなCG技術を取り入れている。
3Dに限らず、全体を通してCGソフトありきの絵の描き方となっており、デジタルイラストの一つの描き方として参考になるだろう。
ただし、PhotoshopやSAIなどのソフトの基本的な使い方や、機能の説明は基本的になく、行程を端折っている部分も多いため、PhotoshopやCGイラストの技法をまったく知らない初心者には、本書の内容は難しいと思われる。
Photoshopをはじめとする、CGを描くための基本的な機能や概念(レイヤーやマスク、描画モード、トーンカーブ、ブラシのカスタマイズなど)は理解していることが望ましい。
しかし、作例はPSDデータ付きなので、本書をひととおり読んだあとにわからないことは、実際にソフトでデータを確認したり、ほかの書籍を読みながら学んでいくとよいだろう。
ソフトの使い方や機能がわからない場合はリファレンス系の書籍、テクスチャなどの技術は写真レタッチやデザイン関連のPhotoshop技術書をあたるとよい。著者自身が参考書として
[digital] LIGHTING & RENDERING 第2版を上げているように、3DCG技法書など、コミック系の「2Dイラスト」とは違った技法を学ぶと、本書の理解が深まるはずだ。
この書籍では特典としてレイヤーを保持した状態のPSDデータも公開しているため、普段なかなか見ることができないレイヤー構造を研究できる、というだけでも十分な価値がある。データ(RGB)と書籍(CMYK)の違いを見比べて見てもよいだろう。
(カバーを取ると線画イラストが見られる仕様となっているので、カバーと表紙を比べてもよい)
好みの分かれる絵柄だが、著者のファンだけでなく、最近のデジタルイラストの描き方を見たいという方にも、オススメの1冊である。