2009年に22歳という若さでデビューしたローラ・イジボア。
デビュー前からアレサ・フランクリンを引き合いに出される
歌声で、相当評価の高かったアーティストですが、その期待を
裏切ることのない素晴らしいデビュー作でした。
アルバムを聴く前はアレサ・フランクリンのことが頭にあり、
ものすごい声量の歌手なんだろうなという漠然としたイメージが
あったので、アルバムを聴いてみて少し肩すかしをくったような
気持ちになりました。それほどがんがん声で押してくるという
感じではありません。しかし、そんなことはどうでもいいと
思えるほど素晴らしい曲が並んでいます。
とにかく収録されている10曲全てがお薦めなのですが、まずは
ポップなピアノと弾むリズムがウキウキさせてくれる『Shine』。
そんなポップな感じがサビに近づくにつれて一気にソウルフルに
なっていきます。メロディはあくまでポップで、しかしローラの
声が泥臭さすら感じさせるようなソウルフルなものになることに
よって、曲の雰囲気はがらっと変わります。この泥臭さと洗練の
同居が彼女の個性であり、才能です。
『Don’t Stay』や『If Tonight Is My Last』のようなゆったりと
した曲では、そのヴォーカルに込められた思いがズドンと伝わって
きます。しかし、『What Would You Do』には敵いません。この曲の
サビで“Would you die for me? Would you cry for me?”と歌う
部分ではゾクっときました。“私のために死んでくれる?私のために
泣いてくれる?”という歌詞がとてもリアルに聴こえるからです。
さらに中盤から盛り上がっていくときの荒々しいドラムとヴォーカルの
絡みは白眉です。
『I Don’t Want You Back』では歌い上げるという表現にぴったりの
ヴォーカルを聴くことができます。じわじわと盛り上がってきて、
サビでは高音で伸びていく歌声を堪能できます。こういう曲を聴くと
ローラの実力が分かり易いですね。
最初に書いたアレサ・フランクリン以外では、ロバータ・フラッグや
ローリン・ヒル、リーラ・ジェイムスなどが引き合いに出されています。
ソウルフルで泥臭い魅力を持ちながら、それでいて洗練されてポップという、
滅多みることのできない才能が共通しているのだと思います。アルバム全曲が
これだけのクオリティーというのはなかなかないと思います。しかも、
ローラは作曲とプロデュースまでこなしているのですから、ちょっと
怖いくらいのアーティストです。本当に次作が楽しみです。
Reviewed by ちょっと寄り道 [音楽の旅] http://sensun.blog83.fc2.com/