イギリスの夏の風物詩「ザ・プロムス・ラストナイト第2部」の定番曲集です。
いろいろなレーベルから同様の企画盤が出ていますので、どれを買おうか悩む方もいらっしゃるかと思います。
本盤の売りはドが付く程の定番曲を揃えて、且つイギリス人には骨の髄まで染み込んでいる(であろう)愛国歌なのに
何故か録音があまり無い4曲目「祖国よ、我汝に誓う」が入っている事でしょうか。
ラストナイトのライブ録音ではありません。ラストナイトで演奏するのはBBC交響楽団。
本盤は同じBBC傘下のオーケストラながら主にポップスや軽音楽を演奏するBBCコンサート管。
もちろんクラシック曲の録音も多数行っておりますが、50人前後の比較的編成規模の小さい団体です。
本盤での演奏も良くも悪くも軽い印象を受けます。オケもコーラスも技術的にもう少し頑張って欲しい…。
指揮するバリー・ワーズワースはバレエ畑での指揮経験が豊富な1948年生まれのイギリス人中堅指揮者で
BBCコンサート管の桂冠指揮者。1993年には実際にラストナイトを振っていたと記憶しています。
「I Vow To Thee, My Country」(祖国よ、我汝に誓う)についてのコメントがありましたので補足させて頂きますと、
この曲はダイアナ妃の葬儀で、シャルロット・チャーチのデビューアルバム(12歳!)で、平原綾香さんで、日本でも有名になってしまった曲です。
もとは御存知ホルストが作曲した大編成管弦楽組曲「惑星」第4曲「木星」の中間部メロディーで1916年作曲。
そこに外交官のスプリング=ライスが作った詩(1918年?作)が付いて発表されました。詳細な経緯は存じ上げません。
その愛国心・理想国家を希求する内容などから聖歌/愛国歌/合唱歌としてイギリス人に現在も親しまれています。
録音があまり無いと書きましたが、合唱曲オムニバス盤などには収録されていたりします。
「ジュピター」は歌手の独特な粘着質な歌い回しやブレスなどでクラシック聴きからは「素敵な旋律を低俗化させた」と非難を、
軍歌・愛国歌聴きからは崇高な無私の曲をラブソング(私欲)に変えてしまうという行為に嘲笑を、と散々ではありますが…。
「Zadok The Priest」はサッカー好きの人には御馴染みの曲。「God save the Queen」は第1番のみで反復も無し。
「Rule Britannia」や「I Vow To Thee, My Country」はメゾ・ソプラノでの歌唱。
「Fant On British Sea Songs」の本来の姿はラストナイトでは聴けないので意外と新鮮でした。
各曲の演奏は、押さえるべきツボは押さえているものの、あまり遊ぶ事も無く真面目に取り組んでいる印象を受けます。
少し物足りないけど入門用としての位置付けならばそういう演奏で良いのかも。
ただ、Della Jonesの起伏の激しい歌唱はこの演奏では浮きますね。嫌いではないけど。
ライブ盤も含め数多ある「ラストナイト曲集」の中で本盤を押す決定打が見つかりません。よって星3つとしました。