コンセプトはもはや公にされている通り、野宮真貴のタイムワープ。高野寛を迎え、多彩な音楽ジャンルが心地よく鳴ってます。私が野宮真貴に期待するところは、従来の音楽センスを下地にそれを超えてゆく新しい音楽幅でしたが、しっかり満足できました。
そもそも彼女の優しく上品でキュートな声と、しなやかに歌えるセンスは何を奏でても様になるし、今作の豪華な音楽家らが彼女を引き立てているというより、逆にどんな音楽さえも彼女が引き立ててしまえるような印象を抱きました。
因みに今作の企画はプロデューサー川籐正幸氏の文章から始まるのですが、それはCDを聞いた後に調べてみてください。表現者・野宮真貴がそれを見事に具現化している点に、改めて今作の見え方が変わると思います。
2「さよなら小さな街」は槇原敬之の作詞作曲。それへピチカートへの熟知は勿論、レトロさを混ぜたラテン系を得意とするコモエスタ八重樫の編曲センスが加わると、完全に野宮真貴にこそ相応しいコケティッシュ・ポップな世界が誕生しました。
続く草野正宗作曲「Never on Sunday」は街を歩くような音の心地よさ。一方倉光延行の疾走するラテンナンバー「Paraiso」はピチカートと肌触りの違う心地よさの代表格。6「上海的旋律」や8「ワイキキ66」などこの辺りは新しい音楽効用で彼女の新しい横顔を目撃してゆくようです。
7「気分を出してもう一度」は安井かずみ・加藤和彦という伝説コンビによる名曲のカバーで編曲と演奏にCKB、横山剣が参加。一方、あKISSだ!と思わせる10「YOU ARE MY STAR」はトライセラトップスの和田唱による楽曲提供です。
今作の目玉、サディスティックミカバンドの11「塀までひとっとび」は高野寛とSUPER BUTTER DOGによる原曲に忠実なカバー(演奏時間はちょっとだけ長め)。サウンドの質感、独特なうねりなどは当にタイムマシンにのったようですよ。
因みにロケ地は橋下改革で存続が揺れた大阪の狭山池博物館。安藤忠雄の作品でなかなかのデートスポット。