初期のルナシーには暗く攻撃的な曲が多かったが、それはパンクやメタルとは違う退廃性を秘めた幻想的なロックだった。
特にファーストアルバムは、当時の世界的流行であったニューウェーブ(特にゴシック・ロック)やニュー・ロマンティクス的な要素に加え、日本のインディーロックの影響が随所に感じられる。
だが、単なる音楽的流行では形容できない程、彼らのサウンドは独特である。それに、時期によってかなり雰囲気も変わるし、楽曲単位でも原曲者の趣向が強くなり、大きな振り幅を見せる。
しかし、それでもずっと共通しているのは、メンバー其々の主張が強くサウンドに感じられる事だろう。もちろん楽曲によってバランスが変わる事もあるが、そういう全員が別々なアプローチで前に出る姿勢にルナシーらしさがあり、最もライブで発揮される魅力ではないか。
そして、今回のセルフカバーアルバムでは、個々のポテンシャルの向上が感じられる。底力が上がっているのだ。
音質の明らかな向上の他に、テンポダウンしてでもリズムの正確さを重視し、余計な力をかけず演奏するという意識の変化で、サウンドにもキレが増し、全体的なグルーヴも高まっている。
しかし、この点については雑でもスピードが速い方が良いという人もいるだろうし、色々な意見があっていいと思う。ハイファイ・ローファイの賛否は世界的にも分かれているし、其々の良さを楽しめれば良いのだから。重要な事は、彼らは相変わらず成長してるし、どのバンドの音にも似ていないと言う事だ。これは、ずっと自分達の感性を信じて、其々の基準で音を追求し続けた結果、人を惹きつけるポテンシャルがかつてない程のレベルにまで高まったという事に他ならない。
基準を外に合わせてしまうと、皆同じような音になっていくし、世界の基準がそこからズレたら、そういう音は廃れていく。
こういう「基準」を持ってる奴らをもっと支持するべきだ