28年の時を経て、ついに復刻した傑作アルバムです!
「1年山篭りをして、この曲(アルバム)を作り上げました」みたいな、妙に“ゲージュツ”した当事のシンセ音楽の流行り方に疑問を持っていた大野雄二が、「じゃあ俺は職人的作曲家として1週間で作ってやらあ」と、劇伴の発展形として編んだアルバムが、この『LIFETIDE』なんですね。(このアルバムはゆえに、サントラではない)
それもそのはず、『エレクトロ・キーボード・オーケストラ』にも参加し曲の提供も行なっていた、あるいはエレクトーンの神様・松田昌とのコラボアルバム『Silent Dialoge』も発表し、昭和55年頃のグレード1のエレクトーン奏者の指導も任されていた大野雄二は、優れた(アナログ)電子楽器の使い手でもあったのです。
この『LIFETIDE』をお聴きいただければ判るのは、大野雄二の紡ぎだす電子音は、「尖がった」方向性のものではなく、実に優しい・柔らかなものです。豊潤なメロディラインと、「シンセだから出せる」音にこだわりぬいた(大野雄二のシンセサイザーの用い方は、完全打ち込みの曲でも、オーケストラの一員としてのシンセであっても、「シンセだから出せる音」という点を守っているのが素晴らしい)サウンド。
新作アルバムの良さや、『愛は地球を救う』の復刻の陰に隠れてしまいそうですが、「昭和50年代」(あえて70年代とか80年代とかは云わないぜ!)という、日本の大衆文化があらゆる意味で爛熟期を迎えた頃、ずーーーっと第一線のコンポーザー・アレンジャーであり続けた、大野雄二の貴重な側面を堪能できるアルバムです。必ず買って、聴くべし!
あ、そうそう。デジタル・リマスターでの細かい気配りがすばらしい。そこを聴き比べるために、オリジナルのLP盤を苦労して手にいれる価値アリかも。