2009年フランスの大ヒット映画「オーケストラ!」(原題:Le Concert)のオリジナルサントラ。劇場で観た映画はたいへん面白く、また楽曲の扱いも巧みで感心させられた。それを追体験しようというクラシック愛好家は、本作購入を真っ先に検討されるのでは。
最初に書いておくと、映画で抜粋版が使われたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、このCDでも全長版ではなく12分強の演奏。つまり原曲の第二楽章はまるごとスキップされている。おなじく、マーラーの巨人もモーツァルトのピアノ協奏曲21番も、劇中とほぼおなじ長さで収録されている。
その三曲の演奏はブダペスト交響楽団。おなじ都市名を名前に冠するオケとしては「〜祝祭管弦楽団」が著名だが、こちらは別の楽団だ。ただし演奏はひじょうに巧い。というか、映画のつくりそのままに、ツボを押さえた美味しい演奏。チャイコフスキーのソリストはSarah Nemtanuという人で、フランス国立管弦楽団の公式サイトhttp://sites.radiofrance.fr/によれば主席とのこと。ヒロインの演奏指導(演技上の)も担当されたそうだが、演奏の巧さはこのサントラでも確認できる(ただし、しつこいようですが抜粋版です)。
ということで、このCDの購入は上記の点を踏まえたうえで判断されたい。個人的にはロマ(ジプシー)のヴァイオリン曲が目当てで買ったので、まったく不満は無いが、何曲かの楽曲の間を映画の印象的なセリフでつなぐ構成は、必ずしも万人向けとは言えない。この内容ならDVDを待った方が満足度は高いのでは。それとも、各楽曲の全長版を収録した「サントラ完全版」が出るのだろうか?