昨今、発達障害に関する書物は汗牛充棟の観もあるが、どれも似たようなもののように見える。障害についての記述はあるが、現在抱えている問題を解決することには余り役に立たないというが正直な感想である。それでも知識や情報を得るために手に取るが、「またか」という印象に終わることが多い。
本書は言い意味でそんな印象を裏切ってくれた本である。本書のようにひとつの現実的なテーマに絞った本の方が役に立つと言うことは間々あることである。
本書は題名の通り、発達障害児の卒業後の進路やサポートを中心に据えている。
テーマがはっきりしているので内容もきれいにまとまっており、非常に読みやすい。
学校段階では何とかやり過ごせても、次に繋げていくのが難しいのが発達障害児である。
どのような進路がよいのか、送り出す側の学校にもまだまだノウハウが足りないし、受け入れる側もまだまだ理解が進んでいないのが現状であろう。
どのような特性があるか説明するには第1章の「子どもがかかえる発達障害とは」がコンパクトにまとまっており、理解や説明に役立つであろう。第2章「発達障害児が育つ学校教育の現場」第3章「発達障害児の自立のために求められる指導」は学校段階での制度や指導についてわかりやすく記述されている。そして卒業後に向けては第4章「発達障害児に特化した進路指導」で紹介されている内容が参考になるであろう。
特別支援学校でも(特別支援学校だからこそかもしれないが)、ここまで発達障害に対応した指導が出来ているところはまだ少ないのではないか。まだまだ社会からの理解の乏しい発達障害児がよりよい人生を送るための支援の方策を練ってゆきたい。