リスト生誕200周年記念として大手メーカーから次々とリリースされているセット物のなかでも傑出した演奏で、2枚のCDにキーシンが87年から2003年にかけて録音したソロ・ピアノの為の作品18曲が収められている。そのなかには彼が15歳の時にサントリー・ホールで録音した2曲や、90年のカーネギー・ホールでのライヴも含まれている。曲数こそ少ないが、他のピアニストのセットに比べて録音が新しく、音質に恵まれているのも特徴のひとつだ。
キーシンのリストは、胸のすくようなテクニックや惚れ惚れするような集中力、感性豊かな抒情に加えてスケールの大きさ、嫌味のないスマートな解釈などにおいてもファースト・チョイスとして幅広い層の人にお勧めできる。尚2枚目は『愛の夢』第三番と『スペイン狂詩曲』以外は、リストのピアノ作品のなかでも非常に重要な部分を占める編曲物で、ここではシューマン、シューベルトの歌曲からのアレンジが7曲と、シューベルトの『ワルツ・カプリス』からの『ウィーンの夜会』第6番で締めくくられている。通常こうした曲目はコンサートの正式なプログラムに取り入れられることは殆んど無く、アンコール・ピースとしても滅多に聴けない代物なので、貴重な録音であるばかりでなく、キーシンのような颯爽とした流麗な演奏によってその真価が問われるのはリスト・ファンにとっても願っても無い機会に違いない。
収録曲目は、CD1.メフィスト・ワルツ第1番、超絶技巧練習曲第12番『雪かき』、同第11番『夕べの調べ』、同第10番、同第5番『鬼火』、同第8番『狩』、3つの演奏会用練習曲から第2番『かろやかさ』、2つの演奏会用練習曲から第1番『森の囁き』 CD2.『愛の夢』第3番、『スペイン狂詩曲』、シューマンの歌曲『献呈』より、シューベルトの歌曲『セレナード』、『さすらい』、『どこへ』、『棲家』、『鱒』、『魔王』、同『ワルツ・カプリス』より『ウィーンの夜会』第6番。ソニーのリミテッド・エディションで23ページのライナー・ノーツには曲目紹介、録音データの他に英、独、仏語による簡単な解説付。通常のプラスティック・ジュエル・ケースを更に紙ジャケットが覆う装丁。