男性R&B作品によくあるギャングスタ風なジャケットで判断してはいけない。中身はなかなかにスイートなオート・ファ
ンク集である。
Lloydは現在25歳のR&Bシンガー。90年代にN-Toonというティーンズ・グループで活動後2004年にソロとして再デビ
ュー。本作が4作目のソロ名義となり、主なプロデューサーに米南部で活躍するPolow Da Don(ポロウ・ダ・ドン)を迎
えている。 Andre3000、Lil Wayne、R.Kelly、Chris Brown等featされたゲスト陣も異様に豪華だ。
個人的には初めて聴いた人だが、若き日のMichael JacksonやEl DeBargeを彷彿とさせるハイトーンボイスは強烈な
個性はないものの、特に高音部になると思わず胸を締め付る切なさと程良い甘さがあり、なかなか魅力的。
サウンド的には今流行りのオート・チューン仕様であり、分厚いシンセサイザやダブ等に時折古めかしいサンプリン
グ音源を絡ませる電子ファンクは格段目新しくもないが、本作の場合各トラック創りが凝っており聴きごたえがある。
昨年夏大ヒットした先行シングル「Lay It Down」では、Patti Labelleの「Love,Need and Want You」をサンプリング。
ロマンティックな弦楽器の音色と無機質なビート、Lloydの声との相性が抜群で耳に心地良いことこの上ない。
他にもLloydの高音部をうまく生かしたサビにより甘酸っぱさ炸裂の「Cupid」、落ち着いたLloydの語り口・しっとり咽ぶ
サックスがムーディなミディアム「Naked」等楽曲自体も練られたものが揃っており、特に前半の流れは素晴らしい。
前半の勢いが終盤のバラード群にて若干落ちる処が惜しいが、それを補い余りある出来。尖ったサウンドと歌い手の
甘い声質との一見ちぐはぐな組合せが癖になる作品だ。The-Dream辺りがお好きな方なら間違いなく嵌ると思う。