「哲学や思想は難しい」、「哲学なんて実生活では役に立たない」・・・。そんなイメージが先行しているせいでしょうか。大学で哲学を専攻するのでない限り、哲学は「どうも・・・」という方が多いようです。しかし、そんな既成概念を払拭してくれるのが、ポール・ストラザーンの90分でわかるシリーズです。中でも『キルケゴール』は、キルケゴールの生い立ちや恋愛関係を交えて彼の哲学を紹介しているので、「何故、哲学が彼にとって必要であったのか」という理由がはっきりするのです。哲学の入門書としてではなく、キルケゴールという一人の人物を主人公にした小説としても、十分に楽しめます(著者ポール・ストラザーンは、哲学から物理学に及ぶ、非常に多彩は学識をもった方で、なおかつ作家としての経歴もあります)。勿論、限られたページ数で、キルケゴールの生い立ちと哲学を余すところなく描き出すことは不可能ですから、内容は薄まったものとなりますが、「眉間にしわを寄せて哲学書を読む」という苦行からは解放されることでしょう。