愛用しているKeynoteを解説した本の出版を待ち望んでいましたので、早速購入しました。以下、私がすべて目を通した上での感想です。購入の参考にしていただければ幸いです。
<長所>
★Keynoteに特化した和書は最近出版されていませんでしたので、本書は貴重な存在です。
★本書は「Keynoteの機能のほぼすべて」を解説した本であり、解説部分も最低水準には達していると思います。もちろん自分が知らない使い方もいろいろ記載されていました。
ただし、プレゼン技術に関してはほとんど書かれていません。あくまでも、「プレゼンテーションzen」(私がレビューするまでもなく素晴らしい本です)に書かれていない「Keynote'09の機能」を知るための本、という位置づけになるかと思います。
★随所に挿入されている「TIPS+」や「認知科学者のアドバイス」は結構参考になります。
<短所>
☆Keynoteというソフトに対する筆者の思い入れが全く感じられません。
たとえば、PowerPointに比べてKeynoteがどう優れているかが全く書かれていません。特に気の利いたイントロがあるわけでもなく、最初から最後まで、Keynote'09の各機能を淡々と解説するような構成になってしまっています。
☆プレゼンにおけるiPhoneの使い方など、応用的な使い方がほとんど書かれていません。
この点が個人的には大変残念でした。表紙のレイアウトや書名の「プレゼン。」の部分に期待をして購入されると、期待はずれに終わりそうです。
☆例に使われているスライドは、操作の前後での変化が分かりにくく、しかもあまり美しくないものが多いです。
この点で、筆者はKeynoteを使った読者に対するプレゼンに失敗しています。「プレゼンテーションzen」に出てくる、ポリシーが感じられ説得力のあるスライドとは大違いです。また、各機能の解説ごとに関連性のないスライドが使われている点もいまいちです。本書全体を通じて、1つのプレゼン資料を作り上げるような構成でも良かったかなと思います。
☆Keynoteの各バージョンによって機能やソフトのレイアウトはかなり異なりますが、それらに対する配慮が全くありません。
最初に「本書では MacOS X v10.6 で Keynote'09 を使用した場合の機能と画面を掲載しています。ほかのバージョンをお使いの場合は、適宜説明を読み替えてください。」とあります。しかし、各操作が旧バージョンでもできるのかどうかも分からず(どれが最新版で追加された機能なのかさえも明記されておらず)、またできたとしてもどうやればいいのか分からない場合が頻繁に生じるものと思われます。非常に不親切です。
☆語句の索引が付いていません。
<まとめ>
「Keynote'09の機能」についてより詳しく知りたいと強く望む場合には購入してもよい書籍、「プレゼンテーションzen」に書かれているようにプレゼン用ソフトの機能に偏重したプレゼンを行わないなら必ずしも購入する必要はない書籍、と言えるのではないでしょうか。