前作「Ken's Bar」で故人である坂本九氏のヴォーカルに自らのヴォーカルを乗せるという禁じ手を使ったのではあるが...。
美空ひばりさんのヴォーカルにかぶせてデュエットしてしまうのは、更に上を行く禁じ手。
確かに美空ひばりさんの楽曲はさまざまな人がライヴで、CDで電波媒体でカヴァーしているが...。
デュエットとは。
紅白で小椋佳氏が「愛燦燦」を美空ひばりさんの生前の映像にかぶせる形でデュエットしていたが、少なくとも作曲家として自分の作品ではあったし、小椋佳氏は、提供楽曲の質を問われたとしても、ヴォーカリストとしての技量を問われる立場ではないからできたことだと思う。
死者を冒涜すると不快に感じる人はいるだろうに、それも歴史上一二を争うといってもいいであろうヴォーカリストであるのだから。
ただ、そんなおそれおおさを無視して仕上がりを評価したら、「すごく良い」。
古きよき時代の「LP版」のテイストが感じられ、選曲の共通性はないのに一枚のLPとして聴くとストーリーというか、統一感が醸し出されて、前作以上に良作に仕上がっている。
ヘンリー・マンシーニ
ビリー・ジョエル
ボビー・コールドウェル
スティービー・ワンダー
楠瀬誠志郎(郷ひろみ)
桑田佳祐
中島みゆき
それぞれ大御所の作品のカヴァーであるにもかかわらず、力まずにカヴァーされているためこちらも力をいれずに聴ける。
エンディングの問題の「Stardust」についても、この版で最も上質の歌唱をのせていると感じられ、エンディングの一曲として評価すればまさに珠玉。
美空さんも生前には茶目っ気のある、愛すべきキャラクターであったともお聞きするし、版権を持つ関係者がOKを出したことにも何も頓着せず、「いい感じに仕上がった」とおっしゃっているのではなかろうか。