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キーノの家族はWカップからの強制送還騒動によって家を一歩も出ることができなくなり、愛犬トリッグスは二日間も散歩に連れて行ってもらえてなかったのです。で、キーノが家に帰って、まず何をしたのかといえば、愛犬を散歩に連れていくことでした。
「恥じることは何もなかった。私の生活は今まで通りにまた始まるのだ」(p.31)というのは、いかにもアイリッシュっぽくてよかったのですが、彼は、本当の犬好きだったということも事実らしいのです。そして、愛犬を散歩に連れているところを写真に撮られようが、撮られまいが、それは知ったことではなかったと。
キーノは体が小さく、15歳で高校入学試験のような試験に落ち、同時にプロにもなれずに「気の遠くななるような無気力の日々をあともなくさまよった」(p.47)のですが、そのんな日々でもかかさなかったのが愛犬との散歩だそうです。
「私が一番魅力的に感じた犬の習性は、飼い主がマンチェスター・ユナイテッドのキャプテンだろうが、勉強ができなくてプロフットボーラーになりたい一心の失業中の16歳であろうが、彼らには知ったことではないということだ」(p.47)
とキーノは語るのですが、まさに「周りにのヤツらには知ったことではない」ということが、彼の矜持でしょうし、それこそが、彼をプロフットボーラーとして生かしていることなのだろう。
「私はひたすらサインし続けた。失業保険の書類にサインするよりずっとましだった」(p.111)
などの彼の言葉は真実だ。ぜひ。
なぜ好きか?
彼より良い守備をするプレーヤーはいくらでもいる。
彼より良いパスを出すプレーヤーもいくらでもいる。
でも彼より勝利にこだわる根性があるプレーヤーはどこにもいないから、好きなのだ。
味方を鼓舞して、激励し、みんなを引っ張っていく。相手に対してはプレッシャーをかけ、削ることも厭わない。
だから、どこでもプレーする。ゴール前にも飛び出すし、ディフェンスラインの後にいることもある。
カントナとは異なる、マンチェスターユナイテッドのカリスマである。
その彼の自伝を読んだ。
意外だったのは彼は落ちこぼれの学生で、必死の思いでフットボーラーになったということ。
フィールド以外では、結構暴れん坊だということ。
例の日本でもW杯での離脱についても詳しく語られている。
アイルランドナショナルチームは準備があまりにも不足していた。
マンUでは考えられないことだった。
乾いた文体は東本さんの訳がそうさせているのか、原文がそうなのかわからないが、キーンのイメージに良く合うと思う。
ファギーの”監督日記”と一緒に読むとより楽しいと思う。
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