70年代後半は、リンダ・ロンシュタットを筆頭に、ウェスト・コースト系の女性シンガーの名作が続出し、夢のような時代であった。そのリンダの大傑作「風にさらわれた恋」に(1)、(3)、(7)の3曲が取り上げられて一躍名をあげたシンガー・ソング・ライターがカーラ。その彼女のデビュー作が本作。リンダも協力している。カーラの場合、2作目の「ささやく夜」が日本でヒットし、そちらの方がデビュー作、あるいはそれだけ持っていれば十分と誤解している人もいるのではないだろうか。本作はデビュー作でありながら、「ささやく夜」に匹敵する名作。何しろ、99年発表のカーラのベスト盤「オール・マイ・ライフ」に一番多く曲が選ばれたのが本作だから、名曲だらけの作品と言ってよいぐらい。清楚な声で切々と歌い上げるスローな曲には心洗われるし、のりのよいポップな曲、スケールの大きな曲もあってヴァラエティに富んでおり、30年前の作品という古さは微塵も感じない。ではベスト盤を持っていればよいかと問う人もいるかもしれないが、ベスト盤には収まりきらなかった佳曲もあるし、ジャケットを含めた当時の(今も変らない)カーラの飾らない魅力を本作で感じて欲しいと思う。それだけの価値のある作品である。