この作品の音の素材を得るために世界中を旅して、娼婦たちのコーラスから、それこそ銃声までをレコーディングそしてサンプリングしたらしい。そのため、村落など僻地での収録もあったらしいから、聴く前は必然的にちょっと劣悪な音〜言い換えれば「ローファイ」みたいな〜にもなるかな、とも予想もしたが、どうしてどうして、かなりクオリティの高い音質だ。よほど質の良い機材を持って世界各地を巡ったか、それとも今現在のデジタル編集技術の飛躍的な向上のお陰か。。。驚きである。
この作品で、彼女は現ダンスシーンのオリジネーターとしての評価を一段と高め、他者を二歩も三歩もリードする存在となるだろう。そこには、もちろん唯一無比の存在ゆえの孤独も付きまとうだろうし、まだタフな女戦士としてのイメージが先行していて、か弱い女の子としての素顔(?)はあまり見せない彼女だが、インタビューを読む限りではメディア戦略などもしっかりしてるし、今後本格的な成功を収めたとしても、それに付随してくるプレッシャーに押し潰される事は無い、と見る(希望的観測も含めて)。今後もそのユニークな音楽性をどんどん突き詰めていってほしい。
あと、彼女がこのようなユニークではあるが、手間のかかる録音形態を敢えて選んだのは、スタジオにこもり、延々と作業を続けるだけという凡庸な方法論では、もはや新しいダンスミュージックを生み出す事は困難である、という切実な“事実”を本能的に感じ取ったからかもしれない。