ところが、本書は紛れもなく世に出ているし、ユーモアはふんだんに盛り込まれているものの、きわめて精密で確かな内容である。主に1960年代、ロンドン、ニューヨーク、東京、リオ・デ・ジャネイロ、ローマなど十都市に赴任した諜報員たちが、秘密活動の思い出を率直に公開している。隠れみのにした職業、エイジェント(情報提供者)との接触に便利なレストラン、尾行をまくのに最適な道筋…。こうした内容が実在の固有名詞を交えて明かされる。
とはいっても、重苦しい告白本ではない。血なまぐさい話や破壊工作には触れず、神経を休める暇もない諜報員の生活をユーモアたっぷりに語っている。頭の固い上司への不満をぶちまける一方で、有名女優とベッドイン寸前までいったり、現地のエイジェントと交わした友情などホロリとさせる挿話があったりして、実に人間くさい。スパイもまた1つの職業なのだと、彼らに共感を抱いてしまうほどだ。
取り上げられた街を旅したことがあるのなら、まったく違う角度から記憶を呼び起こしてみたくなるだろうし、これから訪れる人は、登場する商店や通りを訪ねずにはいられないだろう。都市にはまだまだ多くのドラマが隠されているのである。(大滝浩太郎)
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多分生臭い内容は敢えて避けてあるのだろうが、十分緊張感を感じることができる。
尾行の巻き方、ターゲットとの接触の仕方。
ロシア人とユーモアはあまり結びつかないが、この本は面白い。
私たちにとって一生役に立たない知識から、すぐにでも人に話したくなる話まで、非常に興味深い。
交番の話なんて、「ホントか?」と思いたくなるが、本当なのだろう。
公安もやるもんだ…
国際便のお供にどうぞ。
行き先を変えたくなるかも。
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