たまらず手を出してしまいました。
バスタードやら3×3アイズのようなグロテスクさとオカルト要素のある、1990年代前半の熱を感じる和風戦国ものです。
最初は良くある類のストーリー・絵で拍子抜けなんですが、途中から意外な展開が多出し、唸らされます。
雑誌廃刊の関係で途中絵と世界観がガラッと変わってしまうので、違和感を覚えるところもありますが、
後半から導入された『人の無邪気という敵にいかに対応するか』というテーマによって、数段価値のあるものに完成したと思います。
事なかれ主義、日和見主義、自分で考えない人間、"無邪気であること"に対する痛烈な批判ですので、こんなご時勢だからこそ読んで欲しい一冊です。
作中に「灰色の隙間から無邪気が這い出してくる」という台詞があります。
これは、物事に対して白か黒かスタンスを決めず、仕方ないから、周りがそうだから、『善悪なんてない』という結論に達してしまうと、そこに詭弁が入り込む余地が生まれ、無邪気な罪を犯してしまう、という警句ですね。
ただ、絶対的な善悪を考えるのは難しく、複数の見方が存在することには注意しなければなりません。
自分のスタンスを決めずに軽率なことをするべきではない、といった程度の意味に取ると良いかも知れません。
作者の方は色々と苦労されたようで、この本には人生の重みが詰まっていると思います。