本の大きさも中身も、1990年にトレヴィルから出版された物と少し違います。
構成と写真の大きさが、かなり変化していますので、写真集の印象は変わりました。
前作で、まとめて小さく記載されていた写真が、一枚ずつ大きく記載されることにより、より細部まで人形とその衣装が楽しめること。それと前作には無い写真や、吉田良さんの回想録パート2も追加されていること。その辺が、復刻版の良い点です。
個人的には、旧『ファンタズム』のほうが、一冊の本としての統一感、それとカタンドールの持つ独自の存在感や雰囲気を引き出すことに成功していると感じましたので、評価の星は4つ。
しかしそうは言っても、『ファンタズム』がリニューアルされて復刊されたことには非常に価値があります。
この本の復刊に関わった全ての方々に、この場を借りて一言お礼申し上げます。
本当に、ありがとうございました。
この復刊をきっかけに、天野可淡という稀有の才能を持った人形作家の生み出した、いのちの結晶のような作品達が、より多くの人々と出会いますように。
そして本書を通じて、カタンドール達と出会った人々が(再会した人々も)、めくるめく素敵な時間を、お過ごしになられますように。
本書記載の「神経に住む者たちへ」という小エッセイより、天野可淡の言葉を少し抜粋して、レビューを終わります。
私の作りだす者たちが
あのかつての闇を切り裂いた悲鳴を
なだめる者であることを。
目に見える神経と見えない神経の隙間を
うめる者であることを。
(中略)
人形はいいます
「私の瞳は銀色の湖
しばし泳がせてみませんか
あなたの退屈な時間を
そして残るは
悪魔の頃のあなたのぬけがら」