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作者と同様に経験をつみ、豊かな技術と精神力を備え、人間的魅力にもあふれていた登山のパートナーは下山途中になくなります。この本の問題は、パートナーを悼む気持ちが強すぎて、事故のことを人に伝えようとする工夫がないことです。山に登るまえから「ああ..ジュリア」と2ページおきに嘆かれたのでは、何があったのかかえってわかりづらくなります。作者がその死の痛手から立ち直れないことは理解できますが、事故の問題点を伝えてこそ、本当に鎮魂になるのではないか、などと考えてしまいました。
以上の点を差し引いても、作者の勇気と精神力には学ぶべき点が多くあります。後半の遭難の描写はすさまじく、自然の前には人間はなすすべがないことも実感でき、わが身を正す一冊といえましょう。
それでも登山家はなぜ山に登るのであろうか。
それほどまでも登山には魅力があるのだろうか。
それは、経験したものにしか理解できないことなのだろうか。
そんな問いを発する一冊です。