本書は初めて読んだのは10年以上前だが、映画がとても面白かったので、原作を読んだところ映画を上回る面白さであったことを記憶している。
今回、作者の最近の作品であるPreyを読んで、何だか本書に似ているなと思ったのを契機に再度読み返してみたが、結末がわかっていてもやはり面白かった。
Preyと似ていると思ったのは、何れも作者の「現代科学が人類の制御できる範囲を超えて暴走しているのではないか」という問題意識が反映された作品であるという点だ。Preyではナノテクノロジーがテーマとなっているが、本書は遺伝子工学だ。何れも科学から生み出された産物が制御不能となる様子が描かれている。
但し、本書はそのような問題意識を抜きに純粋にエンターテインメントとしても楽しむことができる。数千万年の時空を超えて恐竜が甦るというだけで、わくわくさせられる設定なのだが、そこに描かれる恐竜が実にバラエティに富んで実にリアルに描かれている。
史上最大の肉食動物であるティラノザウルスも怖いが、本書のチャンピオンは中型肉食恐竜で恐ろしいほどの知性を有するラプターだ。このような恐竜が本当に存在したかどうかはわからないが、実在したのではないかと思わせるような迫真の描写がすばらしい。
本書の中ではジュラシック・パークは最後に葬り去られてしまうわけだが、このような動物園があれば旅行代と入場料に数十万円をはたいても見たいと思う人は多いのでは。商業的には成功間違いなしという点ではハモンドの構想は正しいと思うのだが、やはり作者が描くようにこのような環境を制御するのは理論的に不可能なのだろうか。