「衝撃のデビューアルバム」と名を冠するものは、世の中にあまたあるだろうが、言葉の真の意味においてそれをやってのけたのがこのアルバムである。しかも、新人離れした二枚組のアルバムである。
想像だが、彼らはしっかりした音楽の基礎教育を受けたひとびとなのであろう。その上に立って、ほとんどありとあらゆるジャンルの音楽の混淆、というか、いいとこどりをしているような音楽である。ジャンルにとらわれて、「これはいったいどのように分類されるのだろう?」などの疑問を持つタイプのリスナーには向いていないかもしれない。筆者にとっては、同じジャム・バンドであるGrateful Deadに比べて、その「教育」が邪魔をしている部分もあるように感じられるのであるが。
彼らののちのライブにも登場する曲もたくさん収録されているから、そのような意味でも必聴であるが、このデビューアルバムから彼らののちの運命は予想されたように思う。これだけ完成度の高いアルバムを最初からリリースしてしまっては、"American Beauty"を超えられないDeadと同じような事態に陥るのではないか、ということである。じじつ、筆者には、名盤と言われている"Billy Breathes"も、解散前のラストアルバムである"Undermind"も、このデビューアルバムよりも後退しているように思えるのだ。
再結成したPhish、最初のアルバムとなるべき"Joy"で、いかにこのデビュー盤を超えてくれるのだろうか?