スージーの潔癖すぎる創造世界にリアリティを与えたのは、バッジーの鼓動を思わせるドラムとジョン・マクガフのギターでした。ジョン・マクガフという不思議なギタリストは短いキャリアを、ハワード・デボート、スージー・スー、リチャード・ジョブスン、ジョン・ライドンという自我の強いパフォーマーと共演することに費やしています。ある時は切れ味あるカッティング、ある時は皮膚がヒリヒリするようなアルペジオ。けしてソロを弾かないスタイルながら、どのアルバムにおいても聴く者に強烈な印象を残すギターです。そして、彼にとってのベスト・ワークがおそらく、この作品であります。
「カレイドスコープ」は、スージーのソングライティングが開花した作品。次の「キス・イン・ザ・ドリームハウス」が、彼女が自分の感性を完璧にプロデュースした作品。この作品は、ひょっとすると、ジョン・マクガフが曲づくりを彼女に教えた作品なのではないかと思っています。バンシーズの仕事を単純に言ってしまうと「スージー・スーは世界を、こう捉える」ですから、マクガフの仕事は、彼女にギタリストを選ぶ基準を与えたことなのではないか、とも考えられるのです。
マクガフ抜きでも、バンシーズは良作を何枚も残していますが、この時期のマクガフの存在の大きさは、そんなことまで考えさせます。傑作です。