ライナーによれば「音楽の巡礼」であるサード作品。こうしてレビューを書いているだけで、デレク・トラックスから「音楽は言葉にできないエクスペリエンスだ」と叱られそうです。ライナーにはさらに、純粋に「聴く」ための音楽であり、先入観なしに、予断なしに、心配なしに、欲望なしに、怖れなしに…聴いてもらいたい、と延々と書いてあります。彼ら若い感性によるノンジャンルのポピュラー音楽の見本市です。
3. Home In Your Heartと6. Like Anyone Else ではソウル・シンガーのソロモン・バークを、4. Maki Madni は、ラーハット・ヌスラット・ファテ・アリ・ハーン(パキスタンの儀礼音楽、カッワーリーの歌い手)をフィーチャー。ほかにラテン音楽がありますし、(ビル・ラズウェルのような)ジャズもあります。それら雑多なジャンルを貫くのはトラックスの伸びのあるスライドの音です。
この音楽を「フュージョン」と言ってしまうのは簡単です。わたしはジミ・ヘンドリクスが晩年に新しい音楽の枠組みを作り出すため試行錯誤していたことを思い出します。各曲の共通項を見つけるとすれば、ルーツ音楽であること(ジャズはちょっと違うか…)。テデスキ・トラックスにつながる、ひとつの布石ではなかったのかと思っています。