50年代初頭、スタン・ゲッツのサイドメンとして頭角を現した才能豊かなピアニスト、ホレス・シルバーが、まさに時代の寵児として躍り出た時期の傑作アルバム。50年代半ばはビ・バップからハード・バップへの転換がなされたが、中でもホレス・シルバーの存在は大きい。ジャズ・メッセンジャーズの初代ピアニスト兼音楽監督として、グループのカラーを決定付け、ソウルフルなサウンドやアレンジによって、イースト・コーストジャズの典型を築き上げたのだから。このアルバムはシルバー名義のJ.Mのユニットの傑作であり、50年代半ばの溌剌としたハード・バップの希望と明るさが感じられる。アート・ブレイキー&J.Mの初代のメンバーがそっくり参加しているのでTHE JAZZ MESSENGERSと聞き比べてみるのも一興だが、勝るとも劣らない演奏内容でケニー・ドーハムなどはむしろこちらのほうが調子がいい。この時代多くのハード・バップ系のピアニストが輩出したが、シルバーこそその第一人者であり、落ち目のバド・パウエル、評価が決定的になる前のセロニアス・モンクを飛び越え、またウイントン・ケリーやビル・エヴァンスが頭角を現す以前の状況を鑑みると、いかにシルバーが活躍し、時代をリードしていたかがうかがえる。