ひとことで言うと、「多言語を1つでも知っている人が注意深く考えて読み解けば、これ1冊で完結する」という類の本だと思います。プログラミングをしたことはないが、とりあえず話題のJavaScriptで動くものを作ってみたいという方には荷が重いでしょう。
例えば、配列、オブジェクト、スコープなどの基本的な抽象概念は、おさらい程度という感じで話が進みます。変数とは何か、参照とは何かなどは1ページ程度で終わっていますし、if文の三項演算子に至っては「JavaScriptでも使える」程度の説明のみで、具体的な仕組みの説明が省略されています。
しかし、そもそも筆者がまえがきで「この本は、初学者にも分かりやすいように書いたが、『少しはJavaScriptをかじったことがあるが、正しい文法知識になると自信がない』という人を想定している。」とはっきり書いており、JavaScript特有の仕組み・問題――JavaScriptの3つの関数定義の方法はどんな場面でどんな違いが出て、どういうときにどれを使うのか、関数の引数が省略可能なJavaScriptでargumentsオブジェクトはどんな風に活用するのか、プロトタイプとクラスの違い等々―については非常に細かく書かれています。
また、私はオライリーのサイ本とあわせて読んでいますが、「この機能は実務でどう使うのか」という点に関しては、圧倒的にこの本の方が分かりやすいです。その意味で「きちんと動くものを作るために」という表紙の言葉には間違いありません。読み手を選ぶけれども、非常に効率的に学習できる良い本だと思います。