本書は、プログラミング言語としてのJavaScriptそのものというより、DynamicHTMLを実現するクライアントサイドスクリプト技術としてのJavaScriptを紹介している本、と言えそうだ。
内容的には、プログラミング言語入門としての必須部分(Hello, World!、変数と演算、条件分岐と繰り返し、組み込みの関数とオブジェクト…)が半分、DynamicHTMLに関する部分(HTMLとCSS、ブラウザのオブジェクトとDOM、AJAX…)が半分といったところ。第1章の前に、WWW技術全体におけるJavaScriptの位置付けを示すパート(15ページ程度)があり、それは良かったと思うのだが…。
WWW関連の技術というものは、習得するのはもとより、解説するだけでも難しいと思う。WWW自体が微妙に性質の異なるいくつもの技術の寄せ集めであるため、ザッと全体を俯瞰する、ということができないからだ。JavaScript1つとっても、その位置付け、言語文法、それを使って何が実現できるか、等を(イラストをふんだんに用いた、字数の少ない)200ページ程度の本で紹介するというのは、非常に難しいと思う。残念ながら非常に中途半端な内容に終わってしまっている。
素人がHTMLを手打ちして各自のWeb Pageを作っていた90年代後半に出版された本ならまだわかるのだが…。本書は確かにJavaScriptという技術に対する「とっかかり」を提供してくれる本ではあるのだが、JavaScriptだけに限って言っても全体像が見えてこないし、この本を読んで何かアイデアが浮かんでくる人がいるとすれば、その人は既にJavaScriptを充分理解している人だろう。正直言って、誰にとっても役に立ちそうもない本、という印象を受けた。