本の内容自体は非常に良いと思います。
多種多様なアルゴリズムについての解説はもちろん、「整数」のような些細な
ものや「パズル・ゲーム」といった関連するものを総括する見出しも含まれており、
事典を称するに相応しい手堅い一冊と言えるでしょう。
しかしながら、タイトルに「Javaによる」というフレーズを掲げているがために、
私はこの評価を下します。敢えて言います、この本は Java を謳い文句にする
本としては最低の一冊です。
書店でこの本に注目した客は、果たしてどういった期待を抱くでしょうか。
きっと従来のアルゴリズムがオブジェクト指向に則ったものに生まれ変わり、
その一冊の中にぎっしりと詰め込まれていること、それに違いありません。
そして中のソースにまで目を通した人ならいざ知らず、「Javaによる」という
冠と内容の豊富さを判断材料にこの本を買ってしまった人は、後に大きく
後悔せざるを得ないでしょう。
ここまで読まれた方はもうお察しでしょうが、この本に掲載されているソースには
オブジェクト指向に沿ったものはほとんどありません。非オブジェクト指向的な
ソースを単に Java の文法で焼き直したというだけです。
オブジェクト指向ありきな私の書き方に反発する意見もあるでしょうが、
しかしタイトルに Java が掲げられているからには、その方向の期待を寄せる人は
少なくないはずです。そういった状況を考えずこうしたタイトルを設定した
人物は、選ぶ側の立場を無視し過ぎていると言っても過言ではないと考えます。
この本は『Javaによる』アルゴリズム事典ではありません。
『Javaで書かれただけの』アルゴリズム事典です。