耳掛け型ヘッドフォンには、オーバーヘッド型やネックバンド型のヘッドフォンとは違ってアームレスならではの取り回しの良さがあり、また、インイヤー型やカナル型のイヤフォンよりも自然な装着感、あるいは装着したままで普通に会話が可能、といった他にはないこれならではの魅力があるため、愛用者も多いようです。
ただし、このタイプは音質的には不利と言われていて、実際にファッション性や装着感重視の製品が多く、音質重視となると選べる製品があまりありません。このVictorのHP-AL600は、その中で珍しく音質を追求した製品だと思います。そのために、この手のものとしてはやや大型で重くなっており、ファッション性としての評価は人それぞれの好みだとしても、軽快な装着感が第一という人には向かないかもしれません。ただし、装着自体は楽ですし、フィット感も上々で、ジョギングでも外れるようなことは無いと思います。
耳掛け型では全面スポンジパッドの開放型が一般的ですが、これはドーナツ型のパッドを採用した密閉型のため、音漏れも少し抑えられていて、また、特有のよく弾む低音を聴くことが出来ます。高音のキメの細かさという点ではここひとつで、クラシックの、特にヴァイオリンなどは艶が抑えられた音で全体的にドライな傾向ですが、バランスとしては良好です。楽器としては、音が細くならないAギターとEギター、アタックのエネルギー感がよく再現されるドラムス、張りのある響きの金管楽器などが得意なようで、アコースティックなジャズやヴォーカルものなどが気持ち良く聴けます。
大型の本格的なユニットを採用しているためか、開封してすぐにはちょっと固くつまったような響きですが、20〜30時間の鳴らし込みでこなれてノビのある音に落ち着いてきます。駆動するアンプによっても音がかなり変わる方で、たとえばiPodでも、nanoやshuffleというフラッシュメモリー型よりも、アンプに余裕のあるHDD型の方が厚みのある音になるようです。