昔から洋楽が好きで、最近はあまり音楽を聴いて
いなかった私は、K-popは全くと言っていいほど疎く、
SHINeeについては
「"Replay" という私好みの正統派R&Bの曲を
ダイナミックなダンスを踊りながら歌うボーイバンド」
という程度の情報しか持っていませんでした。
ところが先日、NHKのMUSIC JAPANをボーッと見ていたら、
K-popアーティストの特集が始まり、2番目に紹介された
SHINeeの "JULIETTE" を見たとき、スイッチが入ったように
画面に釘付けになりました。
その楽曲の素晴らしさはさることながら、ステージ上の
彼らのダンスと歌のパフォーマンスが、アッ!!と驚くほど
クオリティが高く、雷に打たれたような衝撃を受けたのです。
こういう、ポップで美しいメロディに現代的な
洗練された編曲、華麗なダンスに高い歌唱力という、
総合的な完成度の極めて高い作品には、めったに出会えません。
ちょうど録画をしていたので、番組が終わると同時に
"JULIETTE" の部分だけ、何十回も繰り返し見ました。
私は長い間、このような音楽を待っていた気がします。
嬉しさのあまり、涙が出そうになりました。
このくらいのクオリティの dance-pop、contemporary R&B
の要素を持つ名曲を楽しむには、20年、もしくはそれ以上
昔の洋楽を聴くしかなかったのですが、こうして日本語で
感動的なステージパフォーマンスを見せてくれる
韓国のアーティストが日本でもデビューするようになり、
しみじみと時代の変化を感じています。
母語以外の言葉で歌うのは発音のみならず歌詞の意味も理解し、
それを表現しながら歌わなければいけないので大変な作業だと思いますが、
Celine Dionが英語圏で活躍するために、歌詞だけでなく
言語としての英語ものちに習得したのと同じように、
より大きな世界で活躍するためには、必要なことなのかもしれません。
韓国語の歌詞の英訳を読みましたが、せっかく
Jonghyunさんが情熱的で感性豊かな歌詞を書いているのに、
それをそのまま理解できないというのは非常にもどかしいです。
日本語の歌詞を書いている方がとてもセンスのある方のようで
良く練られた歌詞を書いているので、その点が大きな救いとなっています。
それにしても素晴らしい曲だと思い、ちょっと調べてみたら、
もともとJay Seanが書いてCorbin Bleuが歌っていた
"Deal with It" という曲をコンテンポラリーに
インストゥルメンタルリメイクしたものなのですね。
(ちなみに真のオリジナルのJay Seanバージョンを聴いたら
思いのほか彼のオリジンであるインド色が濃くて驚きました。
私は彼のバージョンも好きです、特にハモるところなど。)
"JULIETTE" はオリジナルを磨き上げ、都会的に洗練された
かっこいいサウンドになっていると思います。またそれを見事に
踊りながら歌いこなしている若いSHINeeのメンバーの実力には
心から感服します。なかでも、他のメンバーが歌うパートの合間合間に、
さりげなく、効果的に声を入れるJonghyunさんはとても歌唱技術が高く
一番印象に残りました。
考えていたら、この曲を聴くとノスタルジアを感じる理由が分かりました。
Jay SeanのMichael Jacksonへの強いオマージュに違いない
"Deal with It" を、Remee氏がJayと一緒にMichaelをリスペクトしながら
ゴージャスにリメイクし、SHINeeがMichaelのように
(JonghyunさんはMichaelのがむしゃらでパワフルな歌い方の部分、
TaeminさんはMichaelの繊細な息遣いの部分をうまく表現している
と思います)歌い上げているから、なのだろうと思います。
(国を越え、世代を越えて世界中のアーティストにインスパイアし続ける
マイコーはやっぱり最高!とやや脱線した感想まで持ってしまいました。)
私はアーティストのダンスを見るのが好きなので
Amazonでの購入時に在庫のあったDance Music Video [Type B]
の入っている初回生産限定盤を選びましたが、
やはりダンスバージョンは彼らの華麗なフォーメーションを
じっくりと鑑賞することができ、見応えがあります。
鮮やかな色のスキニージーンズでスタイリッシュに踊る
華やかでcoolなSHINeeを見たい方には[Type B]がお薦めです。
ダンスは美しく揃いながらもメンバーそれぞれが
よく自分のものにしているのは、今までたくさん練習をし
たくさんステージを践んできたからだけではなく、常に
より良いパフォーマンスを見せようと各自が努力を続けて
いるからなのでしょう。
ダンスについて特記すべきはやはりTaeminさんだと思います。
このレビューの初めに述べたNHKのMJを見ていたときにも感じたことは、
メインダンサーだというTaeminさんは、どんなに派手な振付を割り当てられても、
身の熟しが細部に至るまで非常にエレガントであるということです。
これはTaeminさんが授かった天賦の才であり、
誰でも練習を積めば身に付くというものではありません。
優美さというのはダンサーとして最強の資質の一つではないでしょうか。
あのバリシニコフ(Mikhail Baryshnikov)と同じ仕事をしていたら
同じレベルになっていただろうと言われるMichael Jacksonのように、
Taeminさんは体の動かし方がバレエやモダンダンスの素養があるのかと思うくらい
上品かつしなやかで、大きく、そして速く、ひとつひとつのポーズが
素晴らしく、実に見事に決まります。
例えて言うなら、DVDの映像をどこで止めても姿勢が良く、頭の先から
指の先や足の先まで美しいポーズが見られる、という感じです。
一連の優雅な動きの中でのリカバリー力も高く、一瞬のうちに
何事も無かったかのように修正していく勘の良さと柔軟性も備わっています。
振付師(仲宗根梨乃さんという沖縄出身の日本人女性だと聞きました)
の教える振付を、おそらく最も正確に表現しながら、
踊ることに対する無垢な喜びが全身に漲っている
Taeminさんはとても魅力的なダンサーだと思いました。
カップリング曲には日本向けのあっさりした感じの曲が
入っていました。いくつかSHINeeの曲を聴いてみましたが、
例えば、叙情感溢れる "矢 / Quasimodo" などは秀逸で
このような曲のカップリングも聴いてみたいと思います。
ひさびさに心が躍るような高揚感を味わわせてくれた
SHINeeの皆さんに、日本でデビューしてくれて本当にありがとう!
と伝えたいです。世界に通用するコンテンポラリーな歌とダンスと音楽で
彼らにしかできないクリエイティヴィティを発揮していってほしいと
思います。身体に気をつけて長く活躍してくれることを
心から願っています。