日本語の初期指導というと、どうしても日常生活の語彙や場面に終始した教材ばかりだった中で、前著『学習語彙5000』は教科学習に必要な語彙を調査して集めたという意味で画期的だったわけですが、『学習語彙5000』だけではなかなか生徒の自習には結びつきませんでした。しかし、このドリルがあれば、母語の力を活用して生徒が自習することが可能になりますね。今のところ、取り出し指導の時間にこのドリルをやらせたりしていますが、これからはこれを使ってどんどん自分で学習を進めていけるように仕向け、限られた時間をもっと効率的に使いたいと思います。
語彙・漢字ドリルのほかにも、全ての学習項目が網羅されているわけではありませんが、教科の重要ポイントがとてもシンプルな日本語と中国語の訳で示されていて、説明を日本語で理解することにつなげる工夫もなされています。また、中国語話者にとって難しい格助詞や後置詞にポイントをしぼった日本語の文法説明や、日本語の漢字と中国語の漢字の違いなど、日本語指導の面にも目配りがされています。
初期指導だけでなく、滞日歴が長く日常会話には困らないけれど通常授業にはついていけない子どもたちのための教材としても使えますし、母語保持にもつながる教材なのではないかと思っています。