700ページちかい分厚い本。内容はまさに雑文の寄せ集めですね。朝日新聞社のPR誌の《わたしの流儀》、讀賣夕刊の《寺島靖国のスピーク老》、スイングジャーナル誌の《日常生活する》、という3本の連載エッセイを収録している。ジャズやオーディオの趣味を著者と共有できる読者ならば、期待を裏切られることはないと思います。
ディスクユニオンが本を出版しているとは知らなかった。私は書店でブックデザインをひと目見て気に入ったので、即決で購入しました。文庫サイズ。本で貌を半分隠している女性のモノクロームの肖像写真が表紙です。まるで音楽のディスクのように縦方向に帯がかけてあるのが洒落ている。
《美しい装丁の本には愛情が涌くんです。人間と同じで第一印象って凄く大事なんですよ。店頭で手に取り、こういう本を読みたいではなくて、手許に置いておきたい。そう思わせたら本の勝ち、です。》
文章は、いつもの軽妙な寺島節ですね。肩の凝らない、飄々とした語り口。世間の風潮にたいする辛辣なお小言もあります。短い文章をおもしろく読ませるには、すこし芸が不足してる気もしますが。ほぼ同時期に並行して連載していたせいか、あちこちで話のネタが重複している。でも、お会いするたびに喫茶店で似たようなお話を聞かせてくださる、さわやかなおじいちゃんみたいに憎めないものがありました。