オルガン音楽の録音とはなかなかに難しいもの。ヨーロッパの石造りの教会で一度でも、生のオルガンの響きに触れたことがある人なら、CDに記録された音色に満足することはめったにないだろう。このCDもあまり期待することなく聴いてみた。音響に関することは個人が所有するスピーカーにもよることなので、触れないでおきたい。まず、録音に使用された楽器のストップリストと個々の楽曲で選択された音色のコンビネーションが、ブックレットに記載されていることを評価したい。が、これにより第一曲目の『プレリュードとフーガ ト長調 BWV541』で第一鍵盤にカプラーを使用していることが明らかになった。J.S.バッハの作品では通常カプラーは使用しない。楽器によりどうしても必要性がある場合は除くが、掲載されている楽器のストップリストを見る限り、カプラーを使用する必要性はないと判断する。結果として、高音域の音色が耳にきつく響くし、カプラーをかけた鍵盤が重くなり、籠った音色、重い鍵盤を力任せに弾ききろうとするため、メトロノームにあわせたようなテンポのとりかたとなってしまっているのが残念でならない。全体としては、あ〜日本人の演奏だなという印象を受ける。和声が変化するところもテンポ通りあっけなく通り過ぎていってしまい、和声変化の美しさを実感していないのではないかと疑う。今後に期待したい。