内容は81年の「ゴールドベルク変奏曲」の再レコーディングに並行して記録されたおなじみの映像です。数年前にリージョン・フリーのブラジル盤が出回った時にはかなりのベスト・セラーになりましたが、字幕付き日本盤DVD化は初めて。まさしく「待望」という言葉の相応しい商品でしょう。
音楽に言葉はいらない、映像はいらない、ただ音楽だけでいい、・・・それは確かにそうかもしれません。しかし、例えばただ目前で演奏されたというだけで素人の演奏に感動させられることがあるように、「音楽以外」の要素が加わることで音楽そのものの持つ磁場が変化するのもしばしば経験されることです。
ここでのグールドの「ゴールドベルク変奏曲」の映像は、画質は正直それほどよくありません。オリジナルのテープに起因すると思われる画質のブレなども残っています。しかし、実際に目の前でグールドが演奏するのを観ると、そんな細かいことはどうでもよくなります。数年前に飽きるほど繰り返し観た映像でしたが、久しぶりに観てもやはり非常に面白かったです。自分の微かな呼吸のオトすら邪魔に感じてしまうほど音楽映像にのめり込んで楽しむなんて、本当に久しぶりのことでした。
おそらくこの映像は「音楽には映像は不要である」と考えている人々にも強く新鮮な衝撃を与えるでしょう。「聴く」だけの時以上に濃密に作品を楽しめると思います。やや高めの値段設定ですが、グールドの「ゴールドベルク変奏曲」が好きな方には、必見の映像と断言します。
ところで久しぶりにアタマから観て、冒頭のプレイバック風景で「テイク10」とかいう言葉が出ているのに気がつきました。どうせならボツになった録音・画像をボーナスで入れてくれたらよかったのに・・・・。