サッカー専門新聞「エル・ゴラッソ」がつくった選手名鑑。
この文庫本形式になって3年目になるらしいが、最近Jリーグと疎遠になりかかっていた私は、いままでその存在を知らずにいた。
先日たまたま見かけてパラパラと立ち読みをしているうち、なんだかこの本はどこか雰囲気がちがう、と気付いた。
それは、選手ひとりひとりへの解説文において、半分マジメで、半分ファニーな内容になっていることが多いのだ。
なので、ついこの本を買ってしまった。
たとえばこの本の冒頭で紹介されるチームは、J1の最北チームとして「モンテディオ山形」になるわけだが、1ページ目に掲載されている選手の紹介文を少し引用すると、
<背番号5 MF 渡辺匠>
フィールド中央で的確なコーチングや見方への鼓舞など、声でチームを引っ張る精神的支柱。足の手術も乗り越え、08年終盤に復活。彫りが深くワイルドな顔立ちだが、実家のいわき市に戻れば、祖母や姪っ子にメロメロになる。
<背番号6 MF 宮崎光平>
08年は主にスーパーサブとして出場し、リードした試合を決定づける仕事で活躍。昨季の6得点はすべて途中出場で挙げたもので「ミスター3点目」の異名も取った。ズボンの後ろのポケットが緩く、財布を何度か落としている。
といった調子で「そんな情報いらないだろう、普通!」というようなことを、かなり多くの選手に対してコメントしているのである。
このほかにも「天然パーマと剃ったばかりなのにそう見えない濃いヒゲがトレードマーク」だの「2トップの相棒を選ばない高い柔軟性は生活面でも生かされたようで、山形弁のマスターも早かった」だの、書きたい放題である。(ただし、担当記者の関係なのか、場合によってはそういうコメントの記述がかなり控えめなチームもあったりするのはやや残念)
おかげですべてのページ、すべての選手紹介に目を通してみたくなるわけだ。
そして、いままでぜんぜん知らなかった選手に対して、妙な親しみすら沸いてきたりする。
そうすると、がぜんJリーグ観戦が楽しくなってくるわけだ。そして実際にスタジアムに足を運び、この愛すべき(?)選手たちを生で観てみたいと思わせる。それは一冊の選手名鑑が及ぼす効果としては最高到達点のような気がする。
いままでこの手の選手名鑑を、隅から隅まで読みつくすことなんてなかったのだが、この本だけはそれを許さない。
あたらしい選手名鑑のあり方として、この本を強くお勧めしておく。