IRMは英語ではMRI(Magnetic Resonance Imaging)、日本語では核磁気共鳴画像法。タイトルはゲンズブールがジェットスキーで事故を起こして自身の脳に損傷を与えたことに由来します。ただしベックがこのタイトルで曲を書いたとき(脳をスキャンする音を使ってる)事故については何も知らなかったそうです。医者は、よくこれで生きていたな、と言ったらしい。…反論承知で言ってみれば、エコ時代のドラッグをやらない子持ちのマリアンヌ フェイスフル。前作では英語だけで歌いましたが、今回はフランス語の歌もあって、少しリラックスしたのかな?囁き声だけじゃなくて話し声も使ってるし。(前作のインタビューで、フランス語だとみんな父親を思い出すから、と答えていた)ニューヨークでのこのアルバム発表後のライブは好評だったようです。自分で歌詞や曲を書くことはほとんどないし(作曲に参加した歌がむしろベックっぽかったりする)、歌えないし、なんだか後期マイルス デイビスがちょこっと吹いて存在感だけで聴く人は「ああマイルスだ」と感じていた、そんなことを思い出させます。受身だけど受身さが魅力。たぶんこの人は「私の何が欲しいの?」と問い続けるようなところがあるのでしょう。そういう意味で天性の女優。大ファン(問題作Antichristも含めて)なので嫌いになれない…ベックはうまく作ってると思います。わざとアコースティック楽器を多用してノイズを多く含む音がよく彼女の声と溶け合っています。