Paul Auster の最新作。
Adam Walker は1967年、ニューヨークの大学生で文学を愛し、詩人をめざす、自己のありかたにも厳しい純粋な青年。あるパーティでフランスから出向してきている教授 Rudolf Born と知り合い、光と影をもつ彼の世界にまきこまれていく。実はその第1章は、2007年、老いて病に瀕したAdam が学生時代の友人に自己の回想録の原稿を送りつけたもの、という設定だ。
彼が出会ったさまざまな人たちとの交錯あるいは確執が、アメリカとフランスを舞台に描かれる。そしてなぜか最後はカリブ海に浮かぶ島で・・・。いかにも Auster らしい構成であり、文章も流れるように美しく、どんどん読み進んでいける。
それぞれの時代の社会背景(ヴェトナム戦争、冷戦時代など)も、登場人物たちとの関係において興味深い。
しかし読み終わったあとに、一人ひとりの人物に対して、あるいは彼らの人生に対して、解決しきれない余韻が残って、Invisible というタイトルは本当のところどういう意味なのだろうかと考えてしまった。