ジョージア州アセンズのインストロックバンド、Maseratiの3rdアルバム。解散したものとばかり思っていたが、実に5年ぶりとなる本作にてリターン。
前作での音空間を刷新し、大きく化けた感のあるサウンド。その立役者はおそらく、新しくバンドに加入したJerry Fuchs(!!!のドラマー)。シンプルだがおよそ単調ではないリズムセクションが、アルバム全般にダンサンブルで持続的な(加えて本能的な)ビートの快楽を与えている。Maseratiのサウンドの核は、度重なるリフレインとループにより生み出される巨大な音の螺旋模様だが、その幾重にも渦巻く反復の構造物を、全くストレスなく牽引していくこのドラムの駆動力は、トータルにおいて相当強力な武器になっている。
Ash Ra Tempelから影響を受けたというオープニングトラック"Inventions"。サイケデリック、かつヒロイックな表情をも併せ持った雄大なメロディが旋回し、クライマックスにてスペーシーなギターリフが空間を一掃する、ドラッギーな宇宙系中篇ナンバー。ミドルテンポの反復作用の恍惚がジワジワと神経を侵していく展開から、高速の3連ビートが跋扈するハイライトトラック"Show The Season"へ。燦然と砕け散るハイハット/メロディアスに転回するベースリフの暴力的な躍動がAudionomを彷彿とさせる、今作中で最もエキサイティングな瞬間が描き出される。
ポストロック的手法を採りながら、描かれる空間は非常にダンサンブルでスペーシー。独自の様式美に拘りながら、本能に強く訴え躍らせるファクターを孕んだ楽曲は、インストロックの一つの理想像を成しているとも言えそう。リリースはTemporary Residenceから(いかにもこのレーベル!なサウンドは、ラストの"The World Outside"だけ)。04年の来日公演も良かったが、このアルバム内容で是非もう一度ライブが観てみたい!