800ページ弱もあってその量に圧倒されるかもしれない。でも、トピック一つ一つについて丁寧に説明を与えている。直観的な説明が非常に優れた教科書だ。操作変数法、プログラム評価、予測や時系列に関して扱っているのが特徴的。3版での特長は10章のパネルデータの回帰分析でclustered standard errorsが扱われるようになったことと、13章でregression discontinuity designの解説が加わったことだ。
クラスのサイズが点数に影響を与えるかというシンプルな検証が複数の章にわたって登場する。校長が計量屋を呼びつけてクラスサイズを減らすことの影響を聞くという、具体的な状況が想定されているのだ。
実証の使い手になってもらいたいという願いのもと、回帰分析を学んだ直後に内的・外的妥当性を検討する章が置かれている。そこでは使用したデータの妥当性、分析を一般化するときの問題について扱われる。そして、本書の例でもその妥当性について同じように検討している。また実用的な本にするため、最初からEHW標準誤差を使用している。
1部では因果関係とランダム実験についてふれ、数理統計の簡単なおさらいがなされる。そして大標本と漸近性の重要性が強調される。2部からはOLSの説明に入り、3部ではパネルデータ・binaryな説明変数・操作変数法・準実験について扱う。4部では時系列に関して、Granger causality, Cointegration, VARモデルなど。計量ソフトが自動的に計算してくれることにはあまりページを割かない入門書だけど、5部の17・18章では漸近理論についてもふれる。ソフトが何をやっているか理解して欲しいとのことだ。
マクロに関してもっと学びたければHayashiやHamiltonに行けばよいし、ミクロ計量を学びたければWooldrigeやCameronに行けばよい。第5部を除いて数学力があまり必要ないのも入門書として魅力。数理統計未習な状態から上級書への橋渡しとして使えるため、最初の一冊に最適じゃないでしょうか。