1992年、アラスカの雪野に独り分け入って命を落とした青年クリスに関するノンフィクション。著者であるジャーナリストが、残された記録やクリスに出会った人々の話を聞きながら、彼の足跡を再構成していく。クリスのとった行動が正しいものだったのか、そうでなかったのか、彼はincompetentだったのか、さまざまな意見が著者の元にも寄せられたけれど、著者の主観は最小限に抑えて(って言っても、やはり彼もクリスに入れ込んでいるけど)、事実を淡々と語る感じがよかった。クリスが世を捨て、親を捨て、物欲を捨て、自然に焦がれてアラスカを目指す感じが、すごくよく伝わってきた。でも、クリス以外の、同様の道を歩んだ冒険者(?)たちの話もそこここに紹介されていて、それらはちょっと目障りというか、クリスの話から逸れてしまって、わたしは不要だったと思うのだけれど…。greenなクリスみたいなアメリカ人は、きっとこれからも後を絶たないんだろうなぁと思う。それにしても、やはりご両親の心中は・・・と思ってしまうわね。plasticでmaterialisitcsな世の中であっても、「生きてこそ」なんじゃないかなと思う。でも、そんな世の中で生きることは、クリスにとっては本当の意味で「生きている」ことじゃなかったってことなのかな。生きるって、どういうことなんだろう、と考えさせられました。
英語は比較的平易で分かりやすかったですが、語彙は少々見慣れないものもあり、辞書無しではちょっときつかった気がします。