初等文法を修了された方には必携の学生辞書。ゼミへ行けば大抵の人は持ち込んでいて、汚れ具合でその人の学習進度まで一目で分かってしまうという、大変怖い本でもあります。もちろん希英辞典ですから英語に不慣れな人には少々荷厄介です。そこで大学書林の『ギリシャ語辞典』などを参照する人も出てくるのですが、文例は豊富なものの個人的に持つには少々お高い代物ですし、註釈付原典が特定のイディオムを説明するのにLiddell & Scottの項目を頻繁に指定することを考えると、やはり積極的にお奨めはできません。このIntermediateは語彙に多少偏りがあると言われていますが、三大悲劇詩人の作品やプラトンを読む程度ならまず困りません。文例も豊富で、今調べている原典の文章そのものが直接引用解説されている、などということもしょっちゅうです。これから長らくギリシア古典に親しもうという方は、ぜひお求めになって使い潰して下さい。
ただし、欠点というほどではないのですが、List of Abbreviationが不完全で、項目説明に使われる略号の意味が時々分からないことがあります。また、どういう訳か長音記号が記載されていたりされていなかったり、またisk現在形を持つ動詞の中でエータの後にiskが続くものでは必ず「下書きのイオータiota subscriptum」が省略されているので(ex. thneisko→thnesko)、とまどうこともあります。一方で、多くの項目にはラテン語の対応が示されているなど、細かい工夫も目立ちます。最初は何気なく読み飛ばしていましたが、あとでラテン語を学習する時になって、語彙増強に役に立ちました。