前作では破壊的な技術革新を受けて優位を脅かされる側の企業に置いていた視点を、今回はその技術革新で新事業を構築し、優位企業を打ち負かそうとする側に置いている。この「破壊される側ではなく破壊者となって」という立場が本書の特色である。そこでは技術革新にかかわる実務者にとって、より明快な行動指針が得られるだろう。実際に、どうすれば最強の競合企業を打ち負かせるのか、どのような製品を開発すべきか、もっとも発展性のある基盤となるのはどのような初期顧客か、製品の設計、生産、販売、流通のなかでどれを社内で行い、どれを外部に任せるべきか…というような、きわめて具体的な意思決定の「解」が提出されている。
「無消費への対抗」など、次々に展開される破壊的イノベーションの局面は興味深く、そこでのマネジャー個人の行動やモチベーションまでカバーする理論はマネジメントの視野を確実に広げてくれる。事例となる企業や市場は、IBM、ソニーなどの常連から「クイック・サービス型レストランチェーンのミルクシェーク」などまで多彩で読みごたえがある。日本企業に「破壊」される米国市場を取り上げてきた著者が言う、「日本の経済システムは構造的に新たな破壊的成長の波の出現を阻害している」という提起も示唆的だ。さらなる読解が期待できるテキストとして、また、イノベーションやマネジメントの指南書として必携である。(棚上 勉) --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
イノベーションのジレンマとは別の本と理解した方が,
By どう対応するかについて述べた本 章立てがしっかりしているので、各章を要約すると 第一章は序章とも言うべき破壊的イノベーションを要約し 各章の主題を説明していってます。 2章はどうすれば最強の競合企業を打ち負かすことができるかと言うことで 破壊的イノベーションを拡張しています。 3章はどのような製品を作れば良いのかということで、余剰な価値、機能に ついて述べています。 4章は利益ある事業を築く上で、元も発展性のある基盤となるのは、 どのような初期顧客か。という章の表現自体が少しおかしいのですが チャネルについて述べています。 5章はどのようにモジュール化を行えば良いのかについて考察しています。 6章は競争優位の維持について何をすべきか 7章は組織について 8章は戦略について 9章は資金について 十章は上級役員の役割 となっています。 章立てを見てのとおり3章ぐらいまではイノベーションのジレンマの 続きなのですがそれ以外の章は、イノベーションのジレンマを前提として 会社をどのように運用していくべきかを述べた内容です。 私自身は、イノベーションのジレンマに対し、「無消費」という概念で 拡張した部分に対しては新規性を感じるのですが、4章以降の内容は イノベーションのジレンマを知っていれば、導出される内容の様に 思えて、あまり新しさを感じませんでした。 ある意味、ハーバードの懐の深さが理解できるのと、やはり2冊目は さらに分厚くなっている分、どんどん理論が拡散していっているんだなぁ というのが感想です。理論の鮮明さでは前作の方がよかったです。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ジレンマを乗り越える手法を説く重量級経営書,
By 「成功している企業ほど(そして、善意の努力をすればするほど) 破壊的イノベーターに駆逐されてしまう」というクリステンセンの 主張は衝撃的で深く印象に残っています。 本作はその続編で、「では、どのようにすれば駆逐されずに済むか (もしくは、破壊的イノベーターになれるか)」を示したもの。 「…ジレンマ」を読んだ後、3部作になっているのは知っていましたが、 久しぶりに本棚の奥から引っ張り出して読んでみて、本作に興味をもちました。 著者が終章で示しているとおり、理論を説いた前作に比べ、手法論に 注力した内容になっています。 例えば、製品開発の視点(3章)、ターゲット顧客の選定(4章)、 組織構造の選択(7章)、事業計画の立て方(8章)など。 個人的には、7章以降が面白かったです。曰く、「組織の能力は、 資源、プロセス、価値基準の要素に分解できる」と。 幅広い視点、豊富な事例などクオリティの高い経営書といえます。 難点をいえば、訳が分かりにくい箇所があること、示されている手法は 実践的とはいえず、依然、考え方の提示にとどまっていること。 前作と本作では好みは分かれるでしょう。 私は、その理論の衝撃度、読み物としての面白さから、前作に一票。 その分、☆1つ減点しました。
17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
何という洞察と慧眼!しかし理論と実践のギャップは大きい,
By 本作品はその続編であり,前作が破壊的技術の脅威が身辺に及んでいることを警告する内容であったのに対し,破壊的技術をいかに味方につけて応用すればよいのか,しかもそれを組織のプロセスにまで組み込むには?という大変困難な課題に対する「理論構築」の書である.これが理論であることは著者自身が繰り返し述べており,勘と経験ではなく理論に基づく経営をしようという呼びかけはいかにも学者らしい.理論とはいえその内容は自身や同僚との長年の研究成果に基づく洞察と慧眼に満ちており,全ての経営者に読んでほしいと思わせるレベルである. しかし破壊的技術が成功するのは極めてまれであり,それはとりもなおさず実践が生易しいものではないことを物語っている.この本を羅針盤にして新事業の海に漕ぎ出す者たちも多いと思うが,海図と現実の航海の差はあまりにも大きい.そのギャップを具体例をもって埋めていくのが現実世界の経営だが,その成功と失敗の実例を数多く知りたいものである.
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