3歳から教会で歌い、プロ入り初期にはThe Staple Singersとも仕事をしたダニーの音楽には、
ゴスペルへの愛着と神への畏敬の念の存在が大きく影響していると思う。僕が彼の音楽に強い“Spirit”を感じる理由は、そこにある。
うつ病のため入退院を繰り返したと言われており、’79年に自ら命を絶った彼はまだ33歳だった。
その翌年にリリースされた本作は、傑作「LIVE」に比べれば演奏は地味で、じっくり聞かせるタイプの曲が大半を占める。
録音されてからリリースまでの年数を考えれば、マスターの保管状態が思いのほかよくなかったことは、
特に前半の楽曲での音質の不安定さから伺える。レコード会社の都合で出した、アウトテイク集と言えなくもない。
しかし、このアルバムには1曲目から、聞くものの心に静かに、しかししっかりと染み込んでくる“Spirit”がある。
それがもたらす感動は、「3週間前に書いた」と自らMCする5で最高潮に達する。
僕がこのLPを買ったのはまだ大学生の頃。それから約30年が経ち、CDを買いなおして聞いた。
何とも言えぬ気持ちがこみ上げて思わず涙が出たのは、神の意思に反してでも早く逝かざるえ得なかったダニーを思ってか・・・。
少なくとも学生の頃に感じた気持ちとは、全く異なる思いに包まれる自分があった。
年齢や人生の経験によって、このアルバムから”もらうもの”は違ってくる。
だからひとりでも多くの人に、このアルバムを聞いてほしいと本当に思う。