このアルバム、
よくある「長年廃盤だったのがCD化されてカルト人気で余計に高評価を受けた」というのでは無く
カルト視されるのに見合うほど存在感が強く、とても良いアルバムだと思います。
全10曲で30分弱と短く、
曲も割とシンプルなものが多いですが
聞き込むにしたがってどんどんハマっていきます。
何といってもカレンの歌声
ビリーホリデイによくたとえられるように
かなりディープな声です。
ライナーによるとこの作品を作っていた時期に病気を患っていたらしく
余計に声がかすれてしまっています。
ジャズボーカルぽい感じですが
曲調はフォークやスワンプなどアメリカのルーツ音楽志向が伺えます。
ディランとザ・バンドのベースメントテープの中でも
特にソウルフルなI Shall Be ReleasedやTears of Rageみたいな曲と
同じような印象を受ける曲がいくつかあります。
ザ・バンドの「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」というよりも、
ディランが歌うベースメント・テープの方が
印象は近いです。
歌声がより濃いから。
そして1曲目ディノ・バレンティノのカバーが
アルバム全体の雰囲気を重く内省的なムードで定めます。
例えてばかりなのも悪いですが
一つ一つの要素がどれもツボにはまります。
普通こういう音楽は「地味に良い」という評価を受けがちなところだと思うのですが
この盤は違うと思います。
歌声だけでかなり濃い貫禄を感じさせるのです。
本作で特に好きな曲は
ザ・バンドのカバーのIn A Station
オリジナルを聞けなくするほど圧倒されました。
ほかにも1、3曲目など同じくらい印象的です。
この人の人物像はほとんど知られていませんでしたが
ライナーに結構いろいろ書かれていて面白かったです。
そういう情報も知りたければ
対訳付きの日本盤のほうが便利だと思います。
ちょっと読みにくい対訳ですが…