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仲間の死体を食べず、それを餌に鮫を釣って食っていたら(別の事件でそうした船もあったそうだ)。
コンチキ号のようにプランクトンを食べることを知っていたら。
らん引き(海水から水を蒸留する方法)を知っていたら、と思う。
しかし実話の前に、仮定は無力だ。
印象的なのは、途中立ち寄った小島に残ることを選んだ3人が生き残っていた事。
生還した漂流者がなかったら、この人たちを助けに行く船は出なかった。
また、餌・水なしで数年も痩せずに生きるので生きたまま食料として船に乗せられた亀の話。
「亀は空腹を感じない」との説もあるが、亀が行き当たるものをなんでもなめるのを見て、亀も空腹なのだろう、と思う。
「白鯨」の元ネタ、という表現をされることが多いが、ちょっと違う気がする。
白鯨はこの事件の他にも多数の捕鯨船の事件に取材しており、エセックス号の事件と手記を書いた船員の名前もそのうちの一つとして文中で言及されているからだ。
漂流に関する様々な事件の情報もあり、資料としても有用。
役者は「検死官」シリーズで知られた相原氏。
こなれた言葉で「翻訳物らしさ」を軽減しているが、船首を「ボウ」(日本での通用語は「バウ」)など海や気象に関する誤訳がやや目障り。
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